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[過去アーカイブ]令和5年2月2日、3日 茅から未来を考える

2月2日(木)、3日(金)と
2日間にわたり茅葺き体験学習を実施しました。
一般社団法人日本茅葺き文化協会事務局長の上野弥智代様、
茅葺き職人の沖元太一様、
筑波大学教授の黒田乃生先生、廣田充先生、
筑波大学の大学院生の方にご協力、ご指導いただきました。
1日目は茅刈りと茅小屋づくりの体験を行いました。

まずはヘリポート周辺で茅刈り体験です。
ほとんどの生徒が鎌を使ったことがないとのことでした。
職人の沖元様の説明とレクチャーのあと、
実際にハチジョウススキやチガヤを狩りました。

ハチジョウススキは茎が固く、「なかなか刈れない」と苦戦していました。


はじめて自分で刈った茅です。
生徒の表情からも喜びが伝わってきます。

中学校の中庭に戻り、茅小屋に使用する苫編みを行いました。

集中して作業しました。
チガヤと麻縄で苫を編んでいきます。


苫は広げて仮止めするだけで雨風を防いでくれる優れものです。


上野様が「ブルーシートのような役割をするもので、5年くらい使える耐久性がある」という説明をされていました。

苫編みと並行して、
茅小屋の骨組みづくりを行いました。
孟宗竹5本が土台になっています。

それにニガッタケをくくりつけて、補強していきます。


完成した苫です。


きれいにできています。
これを土台に葺いていきます。

だんだんと小屋の形になってきました。

自分たちで作る秘密基地のような感覚で
生徒も楽しそうに作業していました。

次はハチジョウススキを束にして
「おしぎり」と呼ばれる道具で切って先端をそろえました。
こちらの道具は地域の方にご準備いただきました。

ハチジョウススキを上部に葺き、ようやく茅小屋が完成しました。
とても迫力があり、どこかかわいらしい見た目をしています。

茅小屋の中に入りました。
「風が来ない」「暖かい」「意外と広い」という声があがりました。
自分たちで刈った植物で小屋をつくるという大変貴重な経験ができました。

2日目は廣田先生によるフィールドワークからスタートです。
覚えてほしい4つの植物につての解説がありました。
・ハチジョウススキ
・チガヤ
・オオバヤシャブシ(ハンノキ)
・イタドリ
どれも三宅島では馴染み深い植物です。

その生態のすごさや魅力についての説明がありました。
たとえば、オオバヤシャブシ(ハンノキ)は
窒素固定菌を有し、それにより荒廃地の緑化に役立ちます。
身近な植物の知られざる力に気付くことができました。

雄山が噴火してもなお生き続ける植物の生命力の強さを垣間見ることができました。

続いて上野様による茅と文化財に関する講義です。
今まで学習してきた茅学習のまとめになりました。

茅は古い素材ではなく、サスティナブルな素材であるということがよくわかりました。
茅葺きをする時の「ユイ」という文化にも感銘を受けました。
「ユイ」とは地域の相互扶助や共助の精神を言うものです。
「茅葺き」「茅採取」は2020年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。
中学生が茅について知り、文化を継承していくことが大切だと感じました。

海外の茅葺きの紹介がありました。
デンマークには海草で作った茅葺きもあるそうです。

沖元様が手掛けた建築物の紹介もありました。
デザインに優れたものや、新たなアイディアを取り入れたものなどがあることも知ることができました。

三宅島には茅の文化があることを体験を通して知り、感じることができました。
茅や三宅島の未来を考えるきっかけになる貴重な学習をすることができました。
生徒がこれからさらに学びを深め、文化の担い手としてアクションを起こしていくことを期待しています。
この体験ができたのも多くの方のご協力があったからこそです。
皆様本当にありがとうございました。